ミチノ・ル・トゥールビヨンシェフ道野 正のオフィシャルサイト


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コックさん

 今、本屋さんに出ている「あまから手帖」の別冊に、上野修三さんの小僧さん時代のお話しが記事で出ていて、それを読みながら、そういえば自分の修行時代はどうだったかを思い出していたのですが、どうもあまり楽しいことがなかったみたいで、困ってしまいました。
 そもそも、なぜコックさんになろうと思いたったのか、今だからああだこうだ説明しているけれど、その当時どうだったかなんてのはもはや闇の中で、でも、もう24年たったんだなあ、と感慨にふけるばかりです。仕事は本当に辛くて、それこそ毎日やめたかったけれど、言い出したかぎりは3年は続けないとシャレにならないと、それだけを思って続けていました。そして、ちょうど3年目くらいに、ある事が起こりました。

 ぼくの兄から1本の電話が入ったのです。それによると、じつはお見合いをして、自分はその相手を気に入ったんだけれど相手はいまいちみたいで、断られそうになったんだけれど、もう一度だけ会ってくださいとたのんだらO・Kが出た。ついては、おまえのところへ食事に行くので、よろしくお願いしたい。そういう内容でした。
 そこで、先輩やシェフにその旨伝えたところ、まかしておけ、と。そしてその当日、兄のテ-ブルには先輩たちのおごりのワインが届けられ、オ-ダ-はシェフ自らがとりにいくという大サ-ビス。料理も随分気合いが入っていました。上機嫌のお二人さん、さて、その結果はどうなったでしょうか。

 これが、結婚することになったんだなあ。その知らせを聞いたとき、ぼくは初めて思ったのです、ひょっとしてこの仕事、結構いけてるんじゃないか、と。だって、一生ものですぜ、そんな思い出。素敵な仕事と思いませんか。
 ぼくは、その時のことを今でもおぼえているし、それが出発点で、同時に最終目的だと考えてこの仕事続けてきました。そして、明日は今日よりもっといい仕事できるようになろうと。そうすれば、もっと素晴らしい思い出を提供できると。
 ひとくちに水商売というけれど、考え方の問題ですね。そして、そんな考え方を文化というのではないでしょうか、なんて偉そうにいってますが、これも修行の結果なら、あのつらさも無駄ではなかったような気がします。日本全国の小僧たち、そういうわけで、がんばれよ。
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by chefmessage | 2002-03-10 22:41