ミチノ・ル・トゥールビヨンシェフ道野 正のオフィシャルサイト


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<   2003年 07月 ( 1 )   > この月の画像一覧

 近頃、お客様に「ザガット・サ-ベイみた?」と聞かれることが多く、「いいえ。」と答えると、必ず、「ひどい評価だよ。」と続けられるので、気になって本屋さんで買ってきました。見ると、確かにひどい点数がついていて、怒る、を通り越して、なんだか気分が悪くなりました。

 そう言えば数年前、いきなりこの本の出版元からFAXが入り、ザガット・サ-ベイの関西版が出ることになって、おたくのお店も載せてあげるから付随のアンケ-ト用紙にお店のデ-タを書いて送り返しなさい、ということで、多少非常識な気もしましたが、まあよくあることなので、定休日とかコ-スの内容とか当たり障りのない範囲で書いて返送しました。その後、デ-タ確認の電話も、いつ出版されるのかといった連絡も、当然の事ながら原稿の推敲も掲載本の贈呈もなく、だから、改訂版の以前も知らない訳で、今回も、普通なら、以前のデ-タと変更はありませんか?くらいのやりとりはあって当然だろう、と思うのですが、やっぱりそういう事はありませんでした。そして、いきなり料理30点満点の18点!ご丁寧に、前回よりさがりました、という、下向き矢印付き。

 このホ-ムペ-ジをご覧いただいている方にはご理解いただけると思うのですが、僕は、世間で言われているほど自惚れ屋ではないつもりです。もちろん、プライドと負けん気は強くて、それで世間との摩擦もなくはないですが、僕はそれを自覚しているし、それがなければ、この稼業の面白さの何割かは無くなってしまう、とも考えています。そういう意味で、この仕事は、恋愛と似た要素があるような気がするのですが、でも、恋愛とのもっとも大きな違いは、盲目にならず、常に片目は開けておかねばならない、と言うことです。そういった観点から冷静に判断するのですが、ザガット・サ-ベイの最初の版が出てから改訂されるまでの期間、うちのお店は、飛躍的に良くなった、と僕は思っています。まず、あのころと比べるとサ-ビスの人員が充実しています。小さなお店なのに、うちのマダムを含めて、ソムリエは2人いるし。それに、料理のお値段も民主的になって、なおかつ、僕がすべてのお料理を仕上げています。なのに何故矢印は下を向いている?なんだか釈然としませんねえ。

 で、一体どんな人がレ-ティングしているんだろうと、よくよく読んでみると、これが、素人のアンケ-トをまとめた結果だ、と書いてあるのです。これってずるくないですか?だれの顔も見えてこない。出版元はアンケ-トをまとめただけです、と言うだろうし、アンケ-トに答えた人も、私はシロウトにすぎない、と言うだろうし、だったら、誰が責任を取るのでしょう。

 以前、ロワゾ-氏の自殺のことを書きました。ある方から、その文章を読んで、涙が止まらなかった、という感想いただいて、僕も再び目頭が熱くなりました。御大ポ-ル・ボキュ-ズが、酷い評価を与えたゴ-・ミヨを名指しで非難した、と聞きましたが、彼の死を残念に思う気持ちは、沢山の人の心から、なかなか消えません。ロワゾ-氏にとっては、仕事が人生であり、すべてだった、と思うのです。だから、商業主義的で、信憑性が判然とせず、責任感の所在が希薄なレ-ティングは、彼にとっては、我慢出来ないことだったのでしょう。それは、人生そのものが否定されるほどショックなことだったのかもしれません。でも、やっぱり生きて、ジジイになるまで現役でいてほしかった。みんな、そう思っているのです。だって、彼の死の四日後に出版されたミシュランでは、彼のレストランは、やっぱり最高ランク、3ツ星だったのだから。
 もう、僕の言いたいことはお察しいただけると思います。一時は逆上のあまり、掲載拒否を申し入れようとも考えましたが、それも大人げないかな、と。それより、昨年の紅白歌合戦で歌詞間違えちゃった中島みゆきの曲みたいに、逆に、思いがけない大ヒットにならないかな、なんて考えて笑う事にしました。
 だから、興味のある方は、改訂版ザガット・サ-ベイ是非読んでみてください。ただし、本当に沢山のお店が載っているので、ぼくのお店の記事を探すのは大変だと思います。そこで、秘訣をお教えします。ジャンル別索引の、中華料理の項目を見てください。僕のお店は、そこに見つかります。
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by chefmessage | 2003-07-13 02:28