ミチノ・ル・トゥールビヨンシェフ道野 正のオフィシャルサイト


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148人前の幸せ

 もう5年くらい前になりますが、お店の存続が危うくなるくらいワインを仕入れた事があります。実は僕は、見かけとは裏腹にお酒に弱くて、ほんの少したしなむ程度なんですが、そのことから何故か、ミチノシェフは飲めないから、料理とワインとのマッチングがわかっていないし、ワインリストもちぐはぐ、と、あるグル-プがいろんなお店で酷評しているという噂が、巡り巡って僕の耳にも入ってきました。もともと批評の対象となりやすい職種なので、褒められたら少し喜び、批判されたら多いに気をひきしめる、というスタンスを保とうとしているのですが、お酒が強くない、という事でそんな風に言われるのかと、その時はひどく落ち込んでしまって、どうしたもんかと悩んだ訳です。そこで、もう一度心を白紙に戻して、ワインのお勉強をし直そうと思いました。自信があれば風評は気にならないだろう、と考えて。

 で、書籍よみまくり、試飲したおし、の生活に突入したのですが、やり始めると、これがとても面白い。そうなると欲しくなる。あれもこれも、どれもそれも。その頃ワインの管理を任せていた女性スタッフがついに、「もう仕舞う場所がありません。」と悲鳴をあげたのですが、付いた勢いは止まらない。箱ごと横にしてワイン倉庫の床に積みあげろ。結果、仕入れ大超過、店大赤字、税理士さんには自殺行為と言われ、奥さんにはあきれられ。その時、持ってる物で売れる物は全て売りました。もうスっテンテン。よくしのげたなあ、と思います。

 と、人ごとのように言ってますが、今年、また似たようなこと、やってます。2ヶ月で、お皿、148枚も買ってしまった!そして、まだ買い足りない!

 これって何なのかなあ、と思います。もう性格の歪みとしか自分でも思えません。

 でもね、そんな破天荒が次のエネルギ-につながるんですよ、ワタシの場合。

 思うのですが、どうやら料理人にも二通りのタイプがあって、定期的にフランスとかへ出かけて、そこで吸収したものを反映させて自分の仕事やっていくタイプと、あくまで自分のイメ-ジするものを具体化することに固執するタイプと。いわば、外からの作用で動く人と、内からの作用で動く人、という事になるのでしょうか。僕の場合、典型的な後者ですね。出不精だし、依怙地だし。

 でもね、結構疲れるし、行き詰まったりするんですよ。ましてや、ウチのお店、今年15周年ですよ。ネタもつきると言うもんです。

 だけど。

 一歩も立ち止まりたくないのです。まだ前へ進めると思いたいんです。何故、と質問されると困るけど、いつも時代の空気感じていたい、というのかな、変化するのが世の習いなら、正常進化したい、というのかな。そうすることで、どんな時にでも、食べるということで、人を幸せにして、勇気づけられると、そういう人間でありつづけられると。

 なんだか大層なお話になりそうだから結論を急ぎますが、新しいお皿にあう新しい料理、いっぱい考えました。新作オンパレ-ドです。いままで、白いお皿しか使わなかったけれど、みんなそういう傾向になりだしたので、あえて色皿、柄のあるお皿買いました。自分では冒険ですが、なんせ元手掛かってるし、悪しき前例もあるんで、気合い入ってます。そして、今回のメニュ-、自信あります。お客さんによっては、とまどわれるかもしれません。でも、これもミチノの料理だと思います。是非、お越しください。お待ちしています。

 それにね、5年前にオニのように買ったワイン、そろそろ飲み頃になってますぜ、お客さん。
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by chefmessage | 2004-02-21 02:37