ミチノ・ル・トゥールビヨンシェフ道野 正のオフィシャルサイト


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一年の計は。

 さて、苦労ばかりの1年が終わり、新しい年が始まりました。去年は何に一番驚いたかというと、お盆とクリスマスの来客数の少なさ!。8月15日にノーゲストをくらい、12月は24日当日になっても、空席が埋まりませんでした。本当に苦しかった。原因はいろいろあるのでしょうが、それを書いても読んでいる方には面白くもなんともないと思うので、省略。むしろ、今年の僕の抱負を発表したいと思います。
 それはですね、まず、人の悪口を言わない、それと、人の批判をしない。僕の性格をご存知の方は、きっと口を揃えてこういうでしょう。「ぜーったい無理!」。実は自分でもそう思っています。でも、無理なことでないと試練にはならない、オレは変われない、というわけで、今のところはなんとかクリアしていますが、元旦早々こんなことがありました。

 高校のときの仲間が集まるから遊びにおいで、と尼崎のM君からお誘いがあったので、出かけて行きました。最初は世間話だったのですが、いつか話題は仲間の一人N君の長男のことに。彼の長男はいつの間にか高校を中退して、引きこもりになってしまった。どうやら家庭内暴力もあるらしい。その原因はなになのか、これからどうすればいいのか、ということでそれぞれが懸命にアドバイスをし始めました。中でも、当日の主催者M君は熱心です。彼はクリスチャンであり、障害者援助施設の所長であり、なおかつカウンセラーでもあるので、N君も彼の話を真剣に聞いている。でも、M君には申し訳ないけれど、僕にはすこしありきたりに聞こえました。いわゆるステレオタイプな分析、というか、これはあくまで僕の感じ方にもよると思うのですが。それより、もっと本音で語ろうぜ。M、お前高校のとき生徒会長で、同じく俺たちの親友である元過激派現日本キリスト教団牧師S君と組んで、学校ボロボロにしとったやないか、あれはなんやってん、N、お前も大学推薦蹴り飛ばして沖縄放浪に出たまんま、長い間親に連絡もせず、えらい心配かけとったやないか、あのときお前を動かしてたのはなんやってん。自分がどこへ行けばいいのかわからなくて、何者になればいいのかわからなくて、でもエネルギーばかりあってこころは未熟なままで。あのときに俺たちに必要なものはなんやったか、それを考えようぜ、それが答えになるような気がするねんけど。でも、みんな大人になってしまって、いつのまにか世知にたけ、物分りがよくなってしまった。よき指導者、よき父、よき母になろうとしている。自信がないのは俺たちで、だから子供にも自信を持たせてやることができないんじゃないか、そんな過激な言葉が僕の口から飛び出ようとします。自分たちが示そうとしている理解が、逆に子供たちを苦しめているんじゃないのか、あの時の俺たちの親のように。だから、もっと生身で本音でぶつかったらあかんのか。腹が立ったら、腹立つ、と言ったらあかんのか。
 でも、言葉過激派終了を誓った僕は、発言できない。相手に対する悪口と批判ぬきでは語れない。なんとか穏やかに話して理解を得ようとするのですが、うまく出来なくて、自分のつたなさに情けなくて、そのうちなんだか気分が悪くなって、僕は無口になってしまいました。「ミチノ、体の調子でも悪いんか。」。やさしい仲間たちは気遣ってくれます。「悪いけど帰るわ、明日仕事やし。」。

 ああ、一年の計は元旦にあり、というけれど、波乱の幕開けになってしまいました。多分、僕の誓いは遠からず破られることでしょう。ただ、N君の立場は人事ではなくて、いつか僕の身にも降りかかってくると思います。そのとき僕はどうするのか。ひとつだけ言えることがあるとすれば、僕はすくなくとも今、自分が何者かを知っている。その分ちょっぴりだけど、強いのではないか、ということです。僕にはささやかだけど、自信がある。僕は料理人で、最高の料理人でありたいといつも願っている。そして、そうあることで僕は救われてきました。
 だから、僕は一歩も引けない、と思います。昨年、客数は減少し、経営はずいぶん悪化しました。自信は揺らぎ、明日が見えないような気がして本当に苦しんだ、でもそのことに原因があるのなら、それは僕の責任で、僕の努力が足りなかったせいでしょう。
 年頭にメニューを一新しました。皆さんが感じていたレザール・サンテの料理の弱点を、全面的に改めたつもりです。今までよりゼッタイおいしい!からどんどん確かめにいらしてください。スタッフの意見も聞き!今年やるべきことも伝えました。ベストを尽くすのではなく、ベストを超える、それが本当の新年の抱負です。
 もうすぐ54歳になります。最強の54歳になりたいと思います。
 
レザール・サンテ!  オーナーシェフ 道野 正
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by chefmessage | 2008-01-13 03:45