タイムマシンにお願い!
2007年 05月 18日
だから、元フォークル(フォーククルセイダース)の、はたまた元サディスティック・ミカ・バンドのリーダーでもあった長身の音楽家K氏が、木村カエラを起用して再々結成したサディスティック・ミカ(エラ)・バンドのCDは、必然的にこの頃の僕のドライブの友となっています。
ここで話は飛びますが、先ごろウチの店で行った1周年記念のディナーに、以前このページに登場していただいた、著名食ライターKさんがまた来てくださいました。皆さん、覚えてますか?ベントレーのKさんです。そして、そのベントレーこそは、ライターKさんが前述の、長身の音楽家K氏から譲り受けたものでした。そのライターKさんが、ご来店の際、僕の耳に悪魔の囁きを吹き込んだのです。「K氏が愛車のジャガーを手放したがってるけど、買えへん?」
ジャガーXK8、ドロップヘッドクーペ(オープンカー)、淡いグリーン、値段そこそこ、ここまでで既に僕のこころは揺れています。全て、僕の好みです。そのうえ、元の所有者はかつて憧れたあのK氏で、ひょっとすると、高中マサヨシも高橋ユキヒロも乗ったことがあるかもしれん!そのうえ、あの木村カエラも!!
それ以来、僕の頭は沸騰しっ放し。欲しいなぁ。なんとかならんかなぁ。やっぱりあかんかなぁ。でも、やっぱり欲しいなぁ。もともと欲しいものは我慢できない性格であることは周知の事実であります。
でもね。先月のこのページにも書いた通り、フランス料理店の経営は楽ではありません。ましてや改装し、店名まで改め再出発してまだ1年。お客さんみんな、どこ行ってはんねん、と世をはかなむ気分の日もあります。
やっぱり我慢かなぁ、でもなぁ、とみっともなくいつまでも煮え切らない気分の時、目に入ったのがウチのマダムの働く姿でした。3人の子の母にしてソムリエール、それだけでも立派なのに近頃はパティシェールとして再起動。
もともとシェ・ワダでデザート係だった時に僕と出会ったとはいえ、ブランクは18年!マジか?と思っていたのですが、実に熱心で、だから勘も戻るのが早いのか、この頃はなかなか上手です。お客様のウケもいい。
頭の下がる思いでした。ジャガーは先の楽しみに取っておくか。
というわけで、新メニューは気合充分です。僕もますます上手になっていってるのではないか、と、密かに自画自賛、するほどではないのですが、頑張ってみました。マダムとの合作デザートも試作して完成しつつあります。だから、皆さん来てくださいね。そして、どうか僕にあのジャガーを買わせてください!
でも、それまでに誰かの手に渡ってしまうんだろうな。ま、その時は大声で、サディスティック・ミカ・バンドのこの歌でも歌いましょう。「タイムマシンにお願い!」。
レザール・サンテ! オーナーシェフ 道野 正