ハルカくん11歳!
2007年 06月 18日
「ハルカがまだママのお腹の中にいて、男の子か女の子かわからない時、それでもママが、話しかけたいから名前決めてよとパパに言うので、困ったパパは、どちらでもおかしくない名前、ということでハルカと決めたんや。でも、漢字は、男なら悠、女なら遥にするつもりやった。」「名字が道野やから、道のはるかに向かって、みたいな感じでええやん。」。本人が納得したみたいなのでほっとしたのですが、どうして女みたいな名前つけたんだ、と言われたらどうしよう、と、実はひやひや物だったのです。
でも、僕自身はハルカっていい名前だと思っているし、好きです。
そのハルカが11歳になりました。ちょっとひ弱だけど、健康に育ってくれてよかったと思います。
今から11年前、立会い出産で彼が生まれ出た瞬間を、僕はいまでもはっきりと思いだせます。その時、僕は、神様って本当にいるんだ、思いました。とても神学部で学んだ人間とは思えない発言かもしれませんが、ま、そんなもんです。
それまでの僕は、家族なんて面倒くさいだけだと思っていたし、実際、子供が好きではありませんでした。体が動くかぎり料理作り続けて、それで終わればいいと考えていました。でも、ハルカが生まれた瞬間、まるで今まで微妙にずれていたパズルが、ぴたっ、とはまったような気がしたのです。ああ、これでいいのだ。バカボンのパパみたいに何故か心が軽くなりました。そして、これからは真面目にやろうぜ、と思ったのです。それまで不真面目だったというわけではないのですが。
その気持ちは11年経った今でも揺るいではいません。僕は、少なくとも自分自身に恥ずかしくない仕事を心がけてきたつもりです。人の親として、とか、社会の規範に則って、とかそういうことではなく、人は誠実であるべきだと思うから。
先日、お客さんで弁護士のNさんから、息子さんが白血病になった、と聞かされました。身につまされた僕は、へたに慰めることも失礼だと思ったこともあって、黙り込んでしまった。僕の場合、黙る、ということがあまりないので、Nさんに、「なんや、愛想なしやな。」と言われましたが、そうじゃない、どう答えていいのか分らなかったのです。その後、ゆっくり手紙を書いて送らせていただきました。息子の病気は治療すればよくなる見込みです、という返事がきて、お互い共感したことが一つ。責任を果たす努力が自分自身を強くしてくれる。
ほら、やっぱり神様っていてるやん。なんとなく、そう思いません?
だから僕は懸命に自分の仕事に打ち込んでいます。パーフェクトに近づきたくて、でもいつも満足のいく出来にはならなくて、それでも毎日、自己記録更新する気持ちで命張ってます。
実は苦しいけれど、楽しいです。そしてそれは、家族があるからだと思います。
ちなみに、ハルカの次の子はヒカリで、その次はノゾミです。みんな前進あるのみ、ぶっ飛ばしてや。パパも頑張って走ります。
レザール・サンテ! オーナーシェフ 道野 正