ミチノ・ル・トゥールビヨンシェフ道野 正のオフィシャルサイト


by chefmessage
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
 この場合、おいしいというのは、ただ単に料理だけ、という意味ではありません。あなたの生活、いわば人生にとっておいしいかどうか、という意味だと思ってください。

 さて、まずは、ワインの味を知る方法から。
 これは、とにかく安物のワインを飲むことです。¥1,000前後のワイン。それを、5~6本飲んでみてください。しかる後に、どんと¥10,000くらいのワインを奮発してみる。するとあまりの味わいの違いに気がつくでしょう。要は、同じワインといっても、品質の差というか、幅があることに気がつくことです。そういうことを繰り返すうちに興味が出て来て、色々お勉強していくうちに、あなたにとって一番おいしいワイン、それも普段用と、とっておき用が見つかるようになるでしょう。それが、あなた自身のこだわり、というかセンスになるのです。

 レストランも同じです。
 現在は、カジュアル・リ-ズナブルが合い言葉で、本気でそれに取り組んでいるところもあるけれど、実は、それに便乗しているだけの安直な、商業主義優先のレストランも沢山できています。というのも、そういうタイプのレストランは、結構ごまかしのきく領域だからです。けれども、多くの人々が、それを見分けることができません。そして、大切なお金と時間を浪費しているのです。なぜなら、比べる対象を持っていないからです。
 文化的センス、それは選択肢が豊富にあって、そこから自分にふさわしいものはどれか悩むところから生まれてくるのです。

 もうおわかりでしょう。
 カジュアル・リ-ズナブルばかりに目を向けないで、たまには、いわゆる高級店にも足を運んでください。そして、その差を感じとってください。かならず違いはあるのだから。そこから、自分なりのこだわりで、普段使いのお店、とっておき用のお店を探してください。そうすれば、あなたの人生は、もっとおいしくなると思います。
 もちろん、ぼくのお店は、とっておき用に。たとえば、誕生日とか結婚記念日とか結婚披露のパ-ティ-とか、特別な日用に。なぜなら、ぼくは、あなたに感動してもらいたくて、思い出にしてもらいたくて、このお店をやっているんですから。
 といいながら、ぼくが仕事場で愛用しているはユニクロのジ-ンズです。でも、休みの日には履きません。だって、ユニクロは嫌いじゃないけど、それしかない世の中って、想像したくないでしょう?
# by chefmessage | 2001-08-01 22:26

こころの栄養

 何だか今年はテレビとご縁があるようで MBSの「みかさつかさ」ではレギュラ-で出演させてもらっているのですが、それでなくとも少ないプライヴェ-トな時間が削られ、結構ハ-ドな毎日を送っています。(何しろ営業時間には必ずお店にいて、自分自身ですべての料理を仕上げるというのがポリシ-なので、TVの収録はプライヴェ-トの時間に行うことになるのです。)
 愛する子供たちに よそのおじさん扱いされないだろうかと、そんな心配までしながら、それでも頑張れるのは、外の世界へ出ていくことで、今までと違った人間関係がひろがって、それがとても新鮮だからでしょうか。

 例えば5月5日の「みかさつかさ」でご一緒した西村知美さん。天然ボケでけっこう注目されているようですが、本当にあのまんまです。プロデュ-サ-もディレクタ-も全員同じ意見だから間違いないでしょう。そして、全員がこういうのです。「ウラオモテがなくて、すごくいい子だ。」と。ワタシもそう思います。番組では、サ-モンサラダのクレ-プ包み、というお料理で、「子供の日のチマキをイメ-ジしてください」という設定にしたのですが、お料理を出した途端(本番中!)いきなり両手で持ってパクパク食べだしました。そして、目をクリクリさせて「おっいしぃ-」。カメラがとまるたびにまた食べている。そして、収録が終わったときには、結局最後まできれいに食べてしまっていました。その時、ワタシはセットの下手に引っ込んでいたのですが、彼女、ワタシの方に向かって、両手を合わせて、美味しかった・ごちそうさまと何度も何度も頭を下げるのです。本心からよろこんでますという仕草で、それが伝わってきて、ああ、この仕事やっててよかったなあと、こちらまでうれしくなり、その夜はぐっすり眠れ、西村知美さんにいっぱいお賽銭を投げてもらっている夢まで見ました。
 テレビに出ていて逆につらいのは、カメラ回っているときは「おいしい-」とか言ってるけど、 止まった途端 苦労して作ったお料理もう食べなくなる人が結構いることです。お口に合わなかったかもしれないし、お腹がいっぱいなのかもしれないし、ダイエットしているかもしれないけれど、お料理が泣いているような気がして。だから、西村知美さんは新鮮でした。

 そしてもうひとり、そういううれしさで思い出す人は、財津一郎さんでしょうか。
 その時は冬だったので、テ-マは松葉ガニでした。まず、大判のガラス皿一面に松葉ガニのカルパッチオ。これはカメラ映えするよう、量も多めだったのですが、それを財津さんが一口食べて、いきなり席を立って、タケモトピアノ(?)のノリで踊り出した。その後ト-クがあってカメラが止まった後、財津さんもう一度食べだして、結局、全部たいらげた。二品目は、カニのリゾット、これも結構量が多かったのにドンドン食べてる。そこで心配になって声をかけました。「財津さん、無理なら残していただいていいですよ。」すると彼がワタシの方を向いてこういいました。「いやぁ、昔から女房には苦労かけててねえ、今ここにいたら食べさせてやりたいんだけど東京にいるから、かわりにぼくが全部食べてあげてるの。」そして食べ終わって、席を立ち、顔をぐっとワタシの顔に近づけて「料理って奥が深いねぇ、ありがとう。」この会話やらせじゃないんですよ。カメラ回ってないんだから。 
 本当にいい人なんだなぁ、と思ってしまうじゃないですか。そして次にまたチャンスがあったらもっといい料理出してあげたい、と。
 その昔、レストランは栄養をつけに行くところでした。けれども今は、こころの栄養をつけるためにレストランへ行く時代だと思います。そのために、我々は努力をしているのです。そして、お客さんの素直な喜びがこちらに伝わってきたら、これはもう銭カネの問題じゃない、もっといい仕事をしなければ、ということになるのです。
 そんな、料理を出す側と食べる側との、素直な心のやりとりは、お互いの人生の栄養になると思うのですが、いかがでしょうか。

 さて、テレビの話題ついでにもうひとつ。「みかさつかさ」に出している料理のレシピがホ-ムペ-ジに出ています。興味のある方は「みかさつかさ」のサイトを見て下さい。
# by chefmessage | 2001-06-01 22:24

店名について

 お客様によく尋ねられるのですが、店名の “ル・トゥ-ルビヨン” とはフランス語で “つむじ風”とか“旋風”とか言う意味です。
 随分と威勢の良いネ-ミングですが、元々は、それを意図していたのではありません。
由来は、フランス修行時代に、ふと目にしたエルメスのスカ-フの柄にあるのです。それは、中心から外側に向かっていろんな色と模様の葉っぱが、大きくなりながら渦をまくように拡がっていく図柄で、トゥ-ルビヨンと名付けられていました。それを見た時、とても印象に残りました。
 だって不思議じゃないですか?そこに描かれているのはいろんな葉っぱであって、つむじ風ではないのですから。
 姿は見えないけれど、舞う葉っぱの動きで存在を明らかにする。 なんだかスカ-フなのに妙に哲学的で、フランス人らしいと、感心してしまいました。
 そして、いつか自分のお店が持てたら、それを拝借してやろうと思ったのです。
今から15年前、32歳の時でした。いつかは俺も、それだけが心の支えだったような気がします。 だったら、夢が実現した時、何故その名前だけにしなかったんだ、という苦言はごもっとも。
 なにしろ、自分たちでさえ、電話で正式名称がいえないくらい長ったらしい名前のレストランである、というのが現状なのですから。
すみません、土壇場になって、どうしても目立ちたくなったんです。
でも、今はまだいいですよ、ミチノがシェフの名前であるということが、おかげさまで少しはご理解いただけるようになったから。
 それまでは、「ミチノって、どういう意味ですか、」と聞かれたり、「このややこしい名前なんとかならんのか、」と叱られたりで、ほんとに改名したい時期もあったんですから。でも、性格が依怙地だから、そのまんまで11年たってしまいましたけど。
 でも、興味深いことに、地方によってうちの店の名前って覚えられ方がちがうのです。
だいたい関東の方は、「ル・トゥ-ルビヨンですか」と電話で聞かれます。
関西の方は、ストレ-トに「ミチノですか」になります。どちらでもいいのですが、そういうのって、おもしろくありません?
 それと、僕自身が時計マニアなので、よく、時計のトゥ-ルビヨンに憧れて命名されたのですか、と尋ねられることがありますが、それはありません。僕には、残念ながら、あのシステムが何故あんなに高価なのか理解できません。作るのが難しいのはわかりますが、むしろ現代のように、一つ一つのパ-ツの精度があがってしまうと、ああいう複雑な機構は、必要ないと思うのです。
まあ、趣味の工芸品といいましょうか。だから、宝くじでも当たらないかぎり買わないと思います。
 それから、時計に関してこれは余談になりますが、このごろ、いわゆる最先端のオシャレ人間の皆さんが、こぞってフランク・ミュ-ラ-をはめておられますが、僕自身は嫌いです。自分を自分でカリスマ化して、それで馬鹿高い値段で製品を売りさばくシステムって、危なくないですか? だって、ミュ-ラ-の時計って、デザインと仕上げはいいけれど、中身は結構ありきたりだと思うんだけど。 それを、なんでもかんでも自分が発明したようにふれこむのはどうかなあ。うさんくさいなあ。このごろ、平気で他人のデザインぱくっているみたいだし。
 などと言っていると、あ、お客様が来られたようです。さて、透明になってつむじ風に変身しなくては。
 それでは、また。
# by chefmessage | 2001-05-01 22:23
 これはワインインスティチュ-トというところが主宰する、カリフォルニアワインの広報販売促進のキャンペ-ンです。

 いろんなレストランが、ある一定の期間、何種類かのカリフォルニアワインをグラスで提供して、その様子を覆面審査員が色々な角度から採点し、見事優勝したお店は、カリフォルニアにご招待。と言うもので、今回が何回目か知らないけど、うちのお店は去年から参加しています。

 もともと開店当初から、ワインリストにオ-パスワンをずらずら並べていたくらいだったから、カリフォルニアのワインは嫌いじゃなかったし、10年もお店をやっていればマンネリもでてくるわけで、そういう意味ではいい気分転換になるかもしれないな、と参加を決めてお勉強を始めたとたん、生来の気質から、とことんやらねばすまされなくなって、おかげで、損得抜きの仕入れで、膨大な在庫を抱え込む羽目になってしまったのですが、それはまあこの際置いておいて。

 こうして、選びに選んだワイン、白5種類・赤5種類まあ初心者にはこれでいいか的なものから、こんなものグラスで出してどうするんだ的なものまで、自信満々のチョイスで審査に臨んだというわけです。

 ところが、結果は10点満点の7点.。後から送られてきた審査員のレポ-トを読むと 「昼間からお酒を勧められたのでびっくりした。」残念ながらうちはお高い店なので、審査員は昼間来られたのですが、これがミエミエの雰囲気の女性二人組だから、すぐばれるんだなぁ。じゃあ、あなたは何しに来たの?と思うのはワタシだけでしょうか。
 そして、ワインインスティチュ-トからは、 「残念ながら貴店は優勝されませんでした。来年は頑張ってくださいね。」なんてコメントが届いたというわけです。
 なるほど!結局は大バコで、種類がいっぱいあって、ワイワイやるのがいいわけね、その方がワインも沢山売れるもんね。 「いえいえ」 、とワインインスティチュ-トの方はたぶん答えられると思います。 「小さなお店でも、すばらしいサ-ビスぶりで優勝されたところもございます。例えば豊中の有名イタリアンKさんのところのように。」
 でもワタシはKさんから、優勝のヒケツを聞いたことがあります。曰く、「審査員はすぐわかるから、思い切りヨイショして、サ-ビスにタダでワインをおまけしてあげればいいんです。」
 ある酒販店の方も言っておられました。 「審査員だと思ったらいろんな物をいっぱいあげればいいのよ。」
 そういえば、うちに来られた審査員も、帰られる時に、まずお店のマッチに手を伸ばされました。 「これもらっていいですか」。 次にお店のカ-ド、次に神戸大丸ア-トミュ-ジアムの案内、次になんとダビドフの葉巻用のマッチに手を伸ばして 「これもらっていいですか」。 なぜ!何のために!!¥3,000のランチのお客さんに、1箱¥500もする葉巻用のマッチいちいちあげていたら、いったいウチはどうなるんだ!!!
 でもあとから思いました。あのとき、あのマッチあげてたらもう少し点数ふえてたかなぁ。なんてね。

 では何故今年もこりずに参加したか、といいますと、これはカリフォルニアワインのお勉強に熱中していたときに、お知り合いになったインポ-タ-の人々と、また会いたいからです。
 とくに北海道にあるクラモチコ-ポレ-ションの倉持靖彦さん!ワインの問い合わせをしたら、なんと、ウチの店に食事に来られました。そして、ワタシの料理を食べて、「このお店なら自分の輸入しているワイン全部おいてほしい」、と言われました。聞けば、自分の納得できるお店じゃないと、苦労して輸入したワイン、特にレア物は置いてほしくない、とのこと。いまどき、こんなワガママ、はっきり言える人はいないですよ。

その時、聞いた話が忘れられません。
 「ワイン探しで、オレゴンの片田舎の空港に夜間一人で降り立ったとき、あたりは真っ暗で街の灯りも見えない。オレどうしてこんなとこまで来たんだろう、とさみしかったですよぉ、それで結局ね、ワイン売ってくんなかったです。」なんてニコニコしながら言うもんだから、こっちもその気になるじゃないですか。この人のワイン全部買いたいってね。どうしてそこまで、と思うのです。
 岩見沢で酒屋さんやってればそこそこやっていけるだろうに。
そういえば今年のナパのオ-クションでルイスのワインを最高値で競り落として、話題になったのもこの人でした。

でも、これはワタシ自身にもあてはまることでもあるのです。
 ワタシ自身がたいそうお気に入りのフレンチレストランが神戸の御影にあって、そこのシェフと話していたとき、彼がこう尋ねたことがあります。「ミチノさん、どうして悩んで、苦労して人と違う料理やろうとするんですか。しみじみ美味しいあたりまえの料理でいいじゃないですか。」これはワタシがある本に載せた、比内鶏の冷たいフリカッセ(クリ-ム煮)という料理を彼が新鮮に記憶していて、それを受けての発言でした。
 ワタシはこう答えました。「もちろんしみじみした美味しい料理もできる自信はある。でも、やりたくないし、自分のやるべき仕事じゃないとおもう。」と。

 例えば山登りする人がいる。誰も登ったことのない山の天辺に立ちたいと思う。
そこに理由はありません。ただ、そうしたいのです。強いて言うなら、そういう風に生まれたのです。
 だからといって、趣味の登山の人々を軽んじたりはしない、ただ、生き方の違いがあるだけなのです。
 残念ながら、苦労に苦労を重ねて誰も登ったことのない山のてっぺんに立ったとしても、それで世の中がよくなるもんじゃない。でも、登りたいのです。
 けれども、ある特定の人々には感動を与えることができるかもしれません。あいつもあんなに頑張っているんだから、自分もやればできるかもしれない、という形で。あるいはただ単純に元気とか勇気みたいな気を相手に与えるとか。

 だから今年も倉持さんをはじめとするインポ-タ-の人々に会いたくて、話をしたくて、参加することにしたのです。

さて今年の当店のグラスワインは、去年にもましてくせ者だらけの予定です。

 まず白ワインは、セリ-ンのソ-ヴィニヨンブラン。ダラヴァルやアロ-ホのワインメ-カ-、ミア.クライン女史自身の作るワインです。これが代表選手。
 赤ワインは、ショ-ン.サックレ-という人が、自宅の裏庭で瓶詰めしているというプレアディスというワイン。いろんな種類のブドウのブレンドで、何が何パ-セント入っているか、本人もよくわからないというもの。
 栃木県足利市(それ、どこ?)にある布袋ワインズ、というあやしい名前の(失礼!)、でもまじめそうなインポ-タ-が取り扱っています。

そんなのばっかり集めてやろうと思っているから、ゾクゾクしてしまいます。
どうしてそこまで仲間大集合、といったところでしょうか。でもおそらく、ワイン作っている人も、輸入している人も、そのワインと自分の料理をどうあわせようかと悩んでいる人も、そして、それを味わう人も、みんな、それぞれの山のてっぺんに立ちたいと願っているのだと思います。
 そんな願いが集まって、高まっていって、大げさかもしれないけれど、文化というものが生み出されていくのではないでしょうか。大量に売れないだろうし、儲からないだろうし、人にはなかなか理解してもらえないかもしれないけど。

でも、そういうキッカケを用意してくれたから、ワインインスティチュ-トさんに文句ばっかり言わず、お礼を言うべきかもしれませんね。

さあ4月から当店もバイザグラスはじめます。
ワインリストも書いておくから、みなさん楽しみに来てください。

白ワイン       ブドウ         1/2グラス   グラス
フィッシャ-     シャルドネ       ¥400   ¥800
セリ-ン       ソ-ヴィニヨン・ブラン ¥700   ¥1,300
バニスタ-・ロキオリ シャルドネ       ¥800   ¥1,500
ナヴァロ       ゲヴェルツ       ¥500   ¥900

赤ワイン                   1/2グラス   グラス
ベリンジャ-     カベルネ        ¥600   ¥1,100
ス-ヴェラン     カベルネ        ¥700   ¥1,400
フェッツァ-     ピノ・ノワ-ル     ¥800   ¥1,500
リッジ        ジンファンデル     ¥600   ¥1,100
ショ-ンサックレ-  ブレンド        ¥500   ¥900
# by chefmessage | 2001-04-01 22:12