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ミチノ・ル・トゥールビヨンシェフ道野 正のオフィシャルサイト


by chefmessage
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料理教室

 去年の4月からレギュラー出演してきた『みかさつかさ』ですが、番組の内容変更にともなうメンバーチェンジで、僕の出番は3月いっぱいで終了となりました。
半分寂しく、半分はホッとしたというのが本音です。なにしろテレビの仕事というのは、一本録り終わったら、すぐ次の打ち合わせが始まるという切れ目のないもので、そのうえ僕の場合は、お店の定休日を収録日にあてていたので、この1年間、ほとんど休みなしという状態だったから、結構疲れていたのです。
だから、休めるのはうれしいんだけれど、生活のリズムができあがっていたので、寂しさというか、緊張感がうすれるのも実感としてあります。でも、しんどいながらも、楽しかったな。芸能人も以外と普通だな、と思ったり、やっぱり違うな、と思ったり。で、結論としては、どんなお仕事もたいへん、というありきたりなものなのですが、やっぱりどんな世界でも、成功の裏には努力があると思いました。
 かとうかずこさんは、どんなハードスケジュールなときでも、本番になると、いつもきれいでセンスよかったし、セインは、日本人以上に礼儀正しく律義だったし、石田アナは、いつも勉強熱心だったし。だから、離れがたい気がするのですが、そんなことは言っておられないミチノシェフなのだ。
 僕も頑張って、自分のお仕事に邁進しよう、というわけで、

4月から、料理教室 なるものを始めることにしました。

 というのも、今までワタクシの場合、地域の皆さんどころか、日本全国から愛されたいと思う欲深い人間だったので、どうすれば遠くからでもお客さんが来てくれるのか、ということばかり考えていたフシがあるのです。だから、お店の調度は超豪華で、料理も他では絶対マネできないものを作り続けてきました。その結果、東京・名古屋・岡山・広島、これは誇張ではなくて、北海道からも来てくれるお客さんがいるという、そんなお店になれたのですが、でも、地元のお客さんには却って敷居が高いと思われるようになってしまったのです。これって良くないよね。不自然だな。やっぱり、ご近所の人達にも愛されないとね。僕たち豊中市民なんだから。そこで、今年になって、気軽に利用していただけるよう、まずランチとディナーのコースにお値打ち感のあるものを設けました。特別な日ばかりでなく、お友達と誘いあって普段使いにも利用していただけるように。で、自分でも思うのですが、ランチ¥2,800,ディナー¥5,500、このふたつの新設コースはほんとにお得です。時々、これで利益って出てるのかな、と不安になるもんね。
 でも、オープンして12年目、僕たちとしては、もう一度原点に立ち返る気持ちなのです。
 レストランは人を幸せにする場所です。まず近くの人達から。気がつくのに随分時間がかかってしまいましたが、でも、その分経験も積みました。それを味わってほしい、とにかく一度足を運んでいただきたい、後悔させないから、それが今のレストラン・ミチノの目標です。アルコールがダメな人のお飲み物も用意しました。ワインも、持ち込み料さえ了解していただければ持ってきていただいてもオーケーになりました。いままでのミチノではありえなかったことを自分たちの手で変えようとしています。
ただ、変わらないことがひとつだけ。
それは、いつもシェフがすべての料理の仕上げをしていること。頑固ですが、好きなんですね、結局。で、4月からは、その好きな料理を公開しようかな、と。これは、ウチのマネージャーとマダムが、テレビの仕事がなくなって楽になった分、シェフに何かさせようと企んだ結果なのですが、地域の皆さんも喜んでくれるんじゃないかな、と本人も思ったので実行することにしました。調理場が手狭なので実習はしていただけないけれど、僕が実際につくるのを見てもらって、そのお料理を食べてもらい、そのうえ当店ソムリエのワイン講習つきで、1回¥5,000。けっこういいんじゃないでしょうか。是非、ご応募ください。
 また、3番街フェルタのお総菜も4月から新しいコンセプトで展開します。けっこう斬新なアイデアを計画中なので、お楽しみに。で、結局、相変わらず忙しいミチノシェフなのであった。
# by chefmessage | 2002-02-10 22:39

今年も元気に!

 毎週テレビに出てるっていうのは、けっこう影響力があるもので、お問い合わせの電話が随分増えました。でも、残念なことに、コ-スのお値段を聞いて「やっぱりやめておきます」というお返事も増えました。
 うちのお店って、値段高いですか? 本人はあまりそう思ってはいなかったのです。とにかく、どこにも負けないお料理を、というコンセプトで突っ走ってきましたから。そんな話を、ある常連のお客様としていたら、その方がこうおっしゃいました。
 「自分たちは、来て食事をして、納得しているからぜんぜん高いとは思わない、むしろ、これじゃもうからんやろな、と思う。でも来たことのない人が電話で値段を聞いたら、こんな時代やから高い、と思うんとちがう?」 やっぱり、そうなんですかね。 でもそのお客様は続けてこう話されました。「せっかくの腕なんやから、もっと、たくさんのお客さんにふるうべきやで。それに、僕らの息子や娘が、親の財布をアテにせず、自前でこれるコ-スがあったら、僕らもうれしいね。」そうか、そういうことか、と妙に納得してしまったのです。親にも、子にも支持されるレストラン、うん、かっこいいな、と。
 それに、前から気になっていたことがあるのです。それは何かと言いますと、うちのお客さん、ほとんどが、わざわざ来られる方たちで、地域の方って意外と少ない。皆さん、うちのお店のことはご存じなんだけど、敷居が高い、とおっしゃる。それもこの際解決しようかなと。
 そこで、ついにやることにしました。
 価格破壊ってやつ。
 もちろん僕自身のですが。
  まず、ランチは¥2,800からです。オ-ドヴル3種類、メインは3種類からチョイス。

 次に、ディナ-。これは革命ですよ。ア・ラ・カルトの中から、オ-ドヴルとメインを選んで、¥5,500という新コ-スの設定。自分でも信じられません。なぜって、うちのお店、ア・ラ・カルトからオ-ドヴルとメインを選ぶディナ-は、¥12,000だったから。
もちろん、安けりゃいいんだろう、という気持ちでやるつもりはありません。力の入れ方は同じです。そういう人間なんですから。むしろ、僕の気持ちは、皆さんに愛されるレストランになろう、ということにあります。というか、その言葉自体、やっと気づいたというのが本音なのですから。大人になるのに、随分時間がかかりました。

  そのうえ、これはワインマニアの方に朗報です。今まで、断り続けてきたワインの持ち込みを解禁にします。ただし、持ち込み料は、1本につき¥2,000いただきます。それが高いのか安いのか、正直わからないのですが、なにしろこちらは1、700本の在庫を抱える身です。うちのを飲んで下さいというのがいつわりのない気持ちなのですが、あまりのリクエストの多さにお答えすることにしました。
  開店して12年目、はじめての試みを、今年はたくさんやろうとしています。たちどまらず、もっと前に進んでいこうとおもいます。皆さん、どうか力を貸して下さい。そして、みんなで、元気を分かち合いましょう。
# by chefmessage | 2002-01-10 22:38

毒見

このごろ電話などでお問い合わせが多いのが、例のBSE(狂牛病-牛海綿状脳症)に、どう対処していますか、ということです。そのことについて今回は詳しくお答えします。

 まず食材については、肉類は現在、ヨ-ロッパ産のものは、ほとんど輸入がストップしています。
 かろうじてうちで使っているものとしては、鳩、ウズラ、フォアグラがフランス産です。これらには、BSEそのものが存在を確認されていません。

 その他の肉類で、使っている物としては、リ・ド・ヴォ、仔牛、仔羊、牛ロ-ス、黒豚、地鶏、がありますが、リ・ド・ヴォ、仔牛、仔羊、それからフォン・ド・ヴォに使う仔牛の骨は、すべてオ-ストラリア産のものを選んでいます。
 オ-ストラリアは、BSEとその原因となったと疑われているTSE(スクレイピ-、羊の伝染症海綿状脳症)の危険性が世界で最も低いと言われている国です。
というのは、オ-ストラリアは1966年以降オ-ストラリアと同じく、BSE・TSEの存在しないニュ-ジ-ランドの骨粉製品しか輸入しておらず、現在では法律によって、その骨粉すら使用してはいけない、すなわち反芻動物(はんすうどうぶつ)に肉・骨粉飼料を与えることを全面禁止している国であるからです。
 また、国として定期的かつ系統的に病害監視プログラムを実施し、屠殺現場には獣医師を配置させるということまでしています。ですから、少なくとも病害に関しては問題ないのですが、ただ私としては、おいしくなくては許せないので、まず、仔牛・仔羊はともに生後6ヶ月までのものとし、なおかつ母乳と牧草しか口にしていないものと限定して、いろいろなところからサンプルを取り寄せました。その結果、いちばん自分の舌にあったものを選んで使っています。
これは、リ・ド・ヴォも、フォン・ド・ヴォに使う仔牛の骨も同じです。
 まず、ミチノがお毒味してさしあげました。
 
 でもそれでも、どうしても、フォン・ド・ヴォが気になるという方は、おっしゃってください。
 じつは、そのうちフォン・ド・ヴォもくどいと言われる時代が来るのではないかと考えていたミチノは、フォン・ド・ヴォを全く使わない料理のレシピをしっかりもっているので、いくらでも対応できますから。
 
 さて、後は国内産のお肉たちですが、牛ロ-スは松阪のものを使っています。これは一般の飼育とは方法を異にしており、餌は完全に穀物と牧草です。肉・骨粉飼料があるのも知らなかったという人達がいるくらい、伝統的に植物飼料しか、与えていません。そのうえ、正肉なので問題はないと思います。
 つぎに、黒豚ですが、これは契約している飼育場がはっきりしている安全な無菌豚しか買っていません。使っているのはフィレのみです。また地鶏は日向産の赤鶏で、半ば放し飼い、餌は穀類のみです。
 そして最後にゼラチン。そんなに沢山使う物ではありませんが、心配な方もおられるでしょう。昔は、鯨の骨から作っていたのですが、現在うちで使っているのは豚の骨が原料です。これも問題は発生していません。BSE・TSEの疑惑の範疇外です。

 さあ、これでご理解いただけたでしょうか。私の仕事は人を幸せにすることです。安全で美味しい食材を厳選するのは当然です。ただ、現実としては、食べ物は二極化しつつあります。

 一つは経済的な効率を優先した食べ物です。いかに無駄をなくし、短期間で実利を得るか。そのために、オ-トメ-ションとマニュアルの徹底化が行われています。それが、運動できないような狭い場所に閉じこめられて、昼も夜もなく、自然のサイクルを無視した栄養価の高いエサを与え続けられ、短期間で食肉にされる鶏や牛たちです。 あるいは、土に触れたことのない野菜たちです。そして、機械的に食べ物として製品化され、マニュアル化したサ-ヴィスで売られていくのです。
 そこには、働く人達の疑問を挟む余裕はありません。むしろ、それらは排除されていきます。そうでないと、単価を思い切り下げたのに、逆に利益が出るなんてことが起こるはずがないのです。そして、そのような組織の主は、こう豪語します。「人間の味覚は、5~6才までに決まる。だからファミリ-で来てくれれば、その子供たちが親になっても子供たちを連れてきてくる。それが続く限り、ファ-ストフ-ドは不滅だ!」と。
 でも、その思想と方法に対する警鐘が、今回の出来事には含まれているのではないでしょうか。
 かたや、その反動として、昔ながらの手間ひまかけて、を見直し安全で美味しい物を作ろうという人達も多く輩出してきています。
 そして、ミチノはそれらを探し求め、大切に調理し、マニュアルに陥らないサ-ヴィスで提供しようとしています。

 先日、なくなった落語家の古今亭志ん朝さんは、「落語なんてものに生涯かけるからイキなんだよ」と語っていたそうです。
 実は私も、フランス料理なんて、と心のどこかで思っています。べつに、この日本にはなくったっていいもんだ、と。
 でも、それに一所懸命なのも、志ん朝さんに見習えばイキではないか、と。そして、そのイキの中に 伝えたい、本当に大切なものがこめられているように、祈りながら、

    皆さんが来て下さるのを、
    今日もミチノは待っているのです。

 そこで朗報!
ランチがすごくかわりました。
オ-ドヴルとメインが3種類ずつから選べて、その上 値段もお得に!
いつか行ってやる、と思っている人、まずランチにきてください。
# by chefmessage | 2001-10-01 22:37